白癬(足白癬、爪白癬など)

白癬とは?

皮膚糸状菌という真菌(カビ)によっておこる感染症です。足の指の間や足の裏などにできる足白癬(いわゆる水虫)、爪が濁ったり盛り上がって変形する爪白癬(爪水虫)、頭部にできる頭部白癬(シラクモ)、股にできる股部白癬(インキンタムシ)、その他の体の部分にできる体部白癬(ゼニタムシ)などがあります。

症状

足白癬は足の指の間がかゆくなり、ふやけたり皮が剥けたりすることが多いです。 足の裏や指に水疱ができることもあります。また、踵などは皮膚が厚くなってガサガサすることがあります。ただし、これらの症状とよく似た症状が他の疾患でも起こることがありますので、これらの症状=足白癬というわけではありません。 爪白癬では痒みはなく、爪の色が濁ってきたり爪が厚く盛り上がったりします。あまりに厚くなると痛みが出ることもあります。 体部白癬や股部白癬は赤い発疹が徐々に環状に広がっていくのが特徴です。頭部白癬では、菌に感染した部位の毛が抜けてくることがあります。

診断方法

白癬の診断は、真菌顕微鏡検査(鏡検)で行うのが基本です。 見た目で「足の指の間がじくじくしてきたから水虫だ」と自己診断・自己治療してしまうと、悪化したりかぶれたりすることがあります。また、「水虫とよく似ていても水虫でない皮膚疾患」というものは沢山ありますので、水虫かな?と思ったら自己治療をせずに受診してください。 また、内科などへ受診したついでに「水虫の薬もください」と「ついで処方」をしてもらっている方はいませんか?白癬は皮膚科専門医にきちんと顕微鏡検査をしてもらい、治療することが大事です。水虫ぐらいで皮膚科を受診するなんて面倒くさい、と思わずに受診し、きちんと治療をしましょう。

水虫は一生治らない?

水虫は治らない疾患だと思っている方がいますが、水虫はしっかり治せる疾患です。では、なぜ治らない疾患だと思われがちなのでしょうか?「水虫が治らない(と思われている)」原因は3つあると考えられます。

①再燃

白癬は薬を塗ると通常2週間程度でかなり改善します。ここで「よくなった」と思って治療をやめてしまうと、一旦は減少した真菌が再度増えてしまうのです。よくなった⇒外用中止⇒またぶり返したを繰り返しているといつまでも水虫が治らないという結果になります。

②再感染

日本人の5人に1人が足白癬、10人に1人が爪白癬に罹患していると言われています。ですから、私達がよく利用するスポーツジムやゴルフ場のシャワールーム、温泉施設などにいけば必ず足白癬、爪白癬の菌をもっている方がいるはずです。そういった場所で裸足でバスマットなどを踏めば、一旦足白癬が治癒した足にふたたび真菌が付着してしまい、再度感染してしまうのです。また、家庭内に足白癬の患者さんがいると、スリッパやバスマットなどを共用することにより、再感染がおこってしまいます。

②そもそも水虫ではなかったから、水虫の治療をしても治らない

意外とよくあるのがこちら、「そもそも水虫ではなかった」です。 患者さんが水虫と思っている足の病変の中には、水虫と紛らわしい疾患(湿疹、接触皮膚炎、掌蹠嚢胞症など)が含まれていることがあります。これらの疾患に水虫の治療薬を塗っていると治らないどころか、かぶれて悪化してしまうこともあります。

では、どうすれば水虫をきちんと治せるのか?

①まずは自己治療をやめる

市販の外用薬を塗ったり、消毒をしたり、足を酢につけたり・・自己治療をされている方はまず、その治療を中止してください。

②皮膚科を受診し、きちんと診断を受ける

皮膚科専門医を受診し、顕微鏡検査をしてもらいましょう。その際、すでに水虫薬を塗っていると、顕微鏡検査をしても真菌がはっきり見つからない場合がありますので、いったん外用を中止してから受診するのがおすすめです。

③診断がついたら、処方された薬を指示通りにしっかり使用する

足白癬であれば塗り薬が、爪白癬や体部白癬、頭部白癬では塗り薬か内服薬が処方されることがあります。これらの薬は症状がよくなったと思っても自己判断で中止せず、きちんと使用しましょう。白癬の治療は1回受診して薬をもらったら終わり、ではありませんので、次回の受診日には忘れずに受診してください。

④再燃、再感染を防ぐ

治療を終了して大丈夫、と医師に言われるまできちんと治療を続けてください。また、裸足で利用するような公共の場を使用した後は、帰宅後早めに足を洗いましょう。家庭内での再感染を防ぐためには、感染している方とそれ以外の方がバスマットやスリッパを共用しないようにしてください。また、感染している方は家族にうつさないためにもしっかり治療しましょう。
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