うっ滞性皮膚炎

うっ滞性皮膚炎とは?

足の静脈不全による皮膚炎です。できやすいのは膝から下の特に内側です。赤く腫れて痛みを伴うこともあるため、蜂窩織炎と似ていますが、蜂窩織炎は細菌感染による急性の炎症ですから抗生剤治療で改善するのに対し、うっ滞性皮膚炎は赤みが長期間続き、徐々に皮膚が固い局面を持ったり、色素沈着を伴うようになります。ちょっとした傷が原因で潰瘍を形成したり、潰瘍のまわりに湿疹や接触皮膚炎を伴うことがあります。潰瘍が一旦できてしまうとなかなか改善せず、治療が長期にわたることもあります。

うっ滞性皮膚炎の原因

慢性の下肢静脈不全(下肢静脈瘤、静脈弁不全など)により皮膚毛細血管内のうっ血が生じます。これにより毛細血管の微小な出血がおこり、皮膚の組織に血液成分であるヘモジデリンが沈着することにより、皮膚は褐色調の色素沈着をきたします。また、皮膚の角化細胞が障害され、皮膚がカサカサになったり、傷ができやすくなったりします。

うっ滞性皮膚炎になりやすい方

  • ・長時間の立ち仕事をしている方、または椅子に座っている時間の長い方
  • ・肥満の方
  • ・下肢静脈瘤のある方
  • ・足のむくみやすい方

うっ滞性皮膚炎の治療

弾性ストッキングまたは弾性包帯の着用が基本です。これによりうっ血が改善します。下腿に溜まった血液が上に絞り出されるようなイメージです。また、なるべく自宅では下肢を挙上しておくことも大事です。潰瘍が形成されている場合には外用剤での潰瘍治療を行います。湿疹病変がみられる場合にはステロイド外用剤などを用います。症状がひどいとき、静脈瘤の治療が必要なときなどは他の施設へご紹介いたします。